夜職しかしたことがない…昼の世界が怖くて動けない原因とはじめ方

金久いずみ

「夜職辞めたい」と思っているのに、求人サイトを見るたびにそっと画面を閉じてしまう。 夜職を始めたきっかけは人それぞれですが、抜け出せなくなる理由には共通点があります。

「昼職をしたほうが、将来的に全て良くなると分かっている」。それでも足がすくんでしまうのは、決してあなたの性格が弱いからではありません。夜職特有の「高収入」「自由」「特殊な人間関係」という環境が、昼の世界への恐怖心を植え付けているのです。

ここでは、夜職しかしたことがない方が抱える「辞めたいのに辞められない本当の理由」と、「夜職を卒業するための3つのステップ」を、特に悩みの多い履歴書対策を中心にお伝えします。


夜職を辞めたいのにやめられない理由3つ

夜職のままではよくないとわかっていても、新しい環境へ飛び込む恐怖や、現在の待遇を手放す惜しさが勝ってしまう。多くの夜職経験者が口にする、3つの大きな「壁」があります。

1. 夜職の高時給と「昼職へのバカバカしさ」

最大の理由は、「金銭感覚の乖離」です。 スナックやキャバクラで短時間働き、その日にもらえるお給料。それを昼職の給料と見比べた瞬間、「バカバカしい」と感じてしまうのは無理もありません。「昼間1日かけて稼ぐ額を、夜なら数時間で稼げる」という事実は、労働意欲を揺さぶります。

たとえ昼職への移行が必要だと頭では分かっていても、「この給料でこの仕事量は割に合わない」という損得勘定が働き、ズルズルと続けてしまうのです。ハローワークに行っても「この時給でしたいと思える仕事がない」という気持ちになってしまいます。

2. 「昼の世界」への恐怖と、嘘を重ねる罪悪感

夜職しかしたことがないと、普通の職場に行くこと自体に「負い目」や「恐怖」を感じがちです。 「履歴書の職歴はどうしよう」「面接で何してたの?と聞かれたら嘘をつかないといけない」。この「嘘をつき続ける罪悪感」は、想像以上に精神を削ります。彼氏や結婚相手に対しても「ただの飲食店」と偽り続け、バレるのを恐れながら付き合うことに疲れ果ててしまう方も少なくありません。

さらに深刻なのが、「身バレ」の恐怖です。「もし就職先に元客がいたら?」「取引先に顔見知りがいたら?」。万が一「あの子、夜やってたよ」とバラされたらどうしようという不安は、昼の世界へ踏み出す足を重くさせます。「バラしたら相手も困るはず」と頭では分かっていても、過去を知られることへの恐怖心が、あなたを夜の世界に縛り付けているのです。

3. 体力の低下と「見た目の自由」へのこだわり

3つ目は、「ライフスタイルと美意識」の問題です。 長年夜職をしていると、昼夜逆転生活が染みつき、昼間働く体力が著しく低下します。「昼間の仕事はすぐにバテる」「工場やコンビニのような立ち仕事は体力的に無理」。そう考えると、座って接客できる今の環境が一番楽だと感じてしまいます。

そして何より、「おしゃれ」を捨てられないこと。「髪型自由・ネイルOK・服装自由」は絶対条件。黒髪にして、地味なメイクをして、スーツを着る…そんな「量産型の自分」になることへの拒絶反応がでます。「おしゃれをして輝いていたい」という欲求と、「厳しい規則の昼職」は水と油。結果、「今のままの私でいられる場所は夜しかない」という結論に至り、辞められなくなってしまうのです。


夜職しかしたことがない人がやめる方法 STEP3

「夜職しかしたことがないから」と諦める必要はありません。大切なのは、あなたの経歴を「隠す」のではなく「戦略的に見せる」ことです。昼職を始める方法を3ステップで解説します。

STEP1:昼職の中でやりたいことを探す

「夜職しかしたことがないから、誰でもできる仕事しか選べない」と思い込んでいませんか? 一般職に就いたことがないからといって、妥協する必要はありません。むしろ、妥協して選んだ仕事は、夜職の刺激や華やかさと比較してしまい、「つまらない」「やっぱり夜の方がいい」と出戻りする最大の原因になります。

まずは「未経験歓迎」のフィルターを外し、純粋に「やってみたいこと」「興味がある分野」をリストアップしてください。美容、アパレル、営業、広報、Webデザイン…。 「好き」や「憧れ」を軸に選んだ仕事であれば、給料が一時的に下がっても、モチベーションを維持して頑張り続けることができます。まずは自分自身の可能性を制限しないことから始めましょう。

STEP2:自分の武器を探す

夜の世界で生き残ってきたあなたには、必ず「武器(スキル)」があります。それを昼の言葉に変換して認識しましょう。

  • お客様の意図を汲む力 → 「提案力」「課題解決能力」
  • 指名を獲得する力 → 「営業力」「マーケティング視点」
  • 理不尽な客への対応 → 「クレーム対応力」「柔軟性」
  • 長く働き続けた実績 → 「継続力」「忍耐力」

特に「継続力」は強力な武器です。夜職は入れ替わりが激しい業界です。その中で数年働き続けたという事実は、決して恥ずべきことではなく、あなたの「強さ」の証明です。

STEP3:履歴書に落とし込む

ここが最大の難関です。多くの夜職経験者が抱える「職歴の書き方」「会社名」の悩みを解決します。

風俗やキャバクラで勤務していて、会社名・店舗名が書けないのが1番のネックとなるのではないでしょうか。絶対にやってはいけないのが「架空のアリバイ会社」を使うことです。年末調整や源泉徴収票の提出時に必ず矛盾が生じ、最悪の場合「経歴詐称」で解雇になります。

解決策は個人事業主として書くことです。 多くのキャストは、店と雇用契約ではなく「業務委託契約」を結んでいる個人事業主扱いの場合が多いです。 履歴書には会社名を書かず、以下のように記載する方法があります。

履歴書には、「個人事業主として接客業に従事(店舗における接客・販売業務を受託)」 と記載することで会社名を書く必要はなく、嘘にもなりません。

「どこの店?」と聞かれたら、「契約上、店名の公表は控えておりますが、都内の会員制サロンなどで接客を行っていました」と回答すれば、守秘義務のあるしっかりした人と印象付けることも可能です。

キャンペーンバナー
記事URLをコピーしました